Love Slave
「ちょ……。ここが生徒会棟……?」


その外観にあんぐりと口が塞がらなくなる。


お城の様だった。本当にここは学校の一部か? それどころか日本か、外国か? 異世界に迷い込んだんじゃないのかと錯覚してしまうほど。

内装もすべて高級感溢れるものだった。天井は高く、渡り廊下の広さと言い、照明はすべてシャンデリア。テレビで観た宮殿みたいだ。
半ばお姫様気分になる。歩いているところがレッドカーペットだったから。


生徒会室は最上階である5階にあるという。階段で登ろうとしたら、何とエレベーターがあった。しかも金箔が張られていて、指紋がついてしまうので触れるのを躊躇してしまう。
でも、段数を考えると使用する他ない。


そういえば、誰ともすれ違わない。生徒とも先生とも。入ってから気づいたことだが、一般生徒が入っていいものだろうかと今さら思った。
でも、立ち入り禁止とは書かれていなかったし、入り口の前で守衛さんに止められたりもしなかった。エレベーターに乗ることにした。近くにあるデパートのものとは乗り心地が違った。
壁の部分が窓になっていて、学園内が一望できる。ジャンボ学校だということを実感させられる瞬間。


チン、と扉が開く。長い廊下の先に大きな扉があった。


どうやらここが生徒会室らしい。こんな生徒会室、見たことないぞ。


緊張が半端ない。
一度深呼吸して心を落ち着かせる。


ベルではなく、昔の映画で観たことがある獅子のノック式のものだった。

輪っかを掴むと、意を決して扉を叩く。コンコン、と重くも甲高い音が長い廊下に響いた。


「どうぞー」


厚い扉の向こうから声が聞こえた。


「し、失礼します!」


中に入った途端、空気ががらりと変わる。調度品の数々が並び、王室の様だった。それにしても広すぎるというか、教室と言っていいのか……。生徒会室という名に相応しくない構造だった。


奥のほうで社長のような大きな机に座っている人物がいるの分かった。後ろにある大きな窓の逆光の影響で顔が陰になってて見えない。


でも、多分あの超絶イケメンの生徒会長。


「まず、名前を教えてくれないかい?」


いきなり第一声を放たれ、身震いする。
初めて会った時や入学式のときは気付かなかったが、思っていた以上に甘い声。アニメで聞くようなイケメンな声だった。


「1年C組12番早乙女もとかです。あの……」


「君がここに来た理由はこれかい?」
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