ボクがキミをスキな理由【短編集】
不安になって見上げると、成宮くんは黙りこんだまま難しい顔をして何かを考えこんでいる。
「仁、悪いんだけど悩んでる時間はないわ。
今すぐ車に乗りなさい。」
サングラス女のカレンさんは催促するように助手席のドアをパタンと開ける。成宮くんはハァとため息をつくと
「ゴメン、星野さん。
この埋め合わせは必ずするから。」
両手を合わせて、ゴメンなさいポーズを作って彼は必死に謝ってくれた。
「あ…、うぅん。気にしないで?」
右手を軽くふりながら彼を見つめていると
「よかった…。
やっぱり星野さんは優しい女の子だね。」
成宮くんは嬉しそうに微笑んだ。