ボクがキミをスキな理由【短編集】
え…、どうしてそんなに悲しそうな顔するの?
私、成宮くんの気に障るようなことしちゃったのかな……。
不安になって彼の顔を覗きこんで“あの…”と、問いかけようとすると、桐谷くんは苦しそうに唇をギュッと噛んで
「……残酷だよ、星野さんは。」
ひどく傷ついたような目をして、成宮くんは私の顔をじっと見つめた。
『残酷』
成宮くんの言った言葉の意味がわからない。
だけど私の言動が成宮くんの心を傷つけたことはわかる。
理由は何なのかはわからない。
だけどこの空気に耐えきれなくて
「ごめんなさい…」
と、謝ると
「どうして謝るの?」
「…え…?」
「俺が何に怒ってるのかもわからないクセに何で簡単に謝るの?」
成宮くんは冷たい言葉で私の謝罪をはねのけた。