ボクがキミをスキな理由【短編集】
・屋上での出来心
―え…??
まばたき一つせず、静かな怒りの視線を向ける成宮くん。
いつも優しい彼が、こんな視線を向けたのは初めてで。
身動き一つできず、
言葉を発するコトすらできず、
ただ怯えた目をして彼をじっと見つめていると
「…わからないなら…、もういいよ。」
そう呟いて、彼は私のコトを振り返ることなく屋上の出口へと歩き始めた。
ほんとに、これで私との関わりを切る気でいるの??
だんだん小さくなる彼の背中を見ると胸の奥がギュゥッと強く締めつけられる。
いやだ…
こんなサヨナラいやだよ、成宮くん。
成宮くんが手伝ってくれてるプリントだって、私一人じゃ何にもできない。
成宮くんがいてくれたから。
成宮くんが教えてくれたから。
大嫌いな数学だって頑張れたんだよ??