ボクがキミをスキな理由【短編集】
「ごめんな、レイさん。
また連絡するから。」
そう言って
彼女からカラダを離して
反対方向に向かって歩いていくと
「りょ、亮ちゃん!?」
必死な顔したレイさんが俺の右手をギュゥっと掴む
――かわいい
キレイで
可愛くて
素直で
自分に正直なレイさん
そんな彼女に好きだといわれて
単純でガキな俺は
あっという間に恋に堕ちて
彼女に夢中になりそうだったけれど
忘れてた
彼女と俺は違う人間…だったな。
平凡で
地味で
いたってフツーのこの俺と
美人で
華やかで
読者モデルまでしてるレイさん。
レイさんは、俺とは違う世界の人間
ハマッちゃいけない
そうじゃなきゃ…
俺は彼女の気まぐれに付き合わされて
本気になって
いつかあっけなく捨ててしまわれるに違いないから。