ボクがキミをスキな理由【短編集】
「ごめん、レイさん。
俺、もう帰るね。」
どうせ捨ててしまわれるなら。
その他大勢の男たちと同じように
飼いならされて
惨めな別れを経験するくらいなら
今諦めた方がいいんじゃね??
そう…
思ったチキンな俺は
「ばいばい、レイさん。」
彼女の頬にチュっと触れるだけのキスをして、
ふんわりと微笑むと。
テクテクと反対方向に向かって歩きはじめた。
「亮ちゃん!!」
必死な顔して
必死な声で俺の名前を叫ぶレイさん
そんな彼女を無視して
俺はひたすらに歩いてく。
オトナな男には程遠い
ガキで
どうしようもなく
小せぇ、俺。
でも…
どうすればいいのかわかんなかったんだ。
きっとあのまま彼女の過去を許しても
俺はきっと彼女を抱きしめるたびに、こう思う。
『このカラダを知ってる男はどれくらいいるんだろう』
……って。