ボクがキミをスキな理由【短編集】
自信…ね…。
正直、俺は自分に自信なんて
何一つない。
誇れるものも
人に自慢できることも
何もない。
でも……
どんなに考えても
どんなに拒否しても
俺はレイさんが気になる。
見えないように
触れないように
ガマンをしても、
レイさんは俺の中にズカズカと
土足で上がりこんで
俺の大事な部分をかっさらって
いってしまう。
着信拒否しても
メアドを変えても
気になるのはレイさんのコトばかり。
泣いてねぇかな
困ってねぇかな
思い浮かべるのは最後に見た
あの、捨てられた子犬のような目
すがるような目で見つめるレイさんの
あの切ない瞳
あの目を思い出すだけで
胸の奥がギュっと苦しくなって
今すぐカノジョの元に駆け出したい
そんなキモチになってしまう。
――会いたい
でも、会うのが怖い
そんな意気地のねぇ俺を見て
晃兄ちゃんは呆れたようにフフッと笑う。