ボクがキミをスキな理由【短編集】
――な、なんなの!?
宅急便の割にはしつこくない!?
やたらとしつこい宅急便に
恐れをなしながら
必死に布団に包まって
この事態をやり過ごそうとしていると
「レイさん!!いるんだろ!?
レイさん!!」
――え……??
ピンポン攻撃と
ドンドン攻撃の合間から
聞こえてきたのは
愛しい愛しい、彼の声
最初は聞き間違いだと思った
都合のいい夢を見ているのだと
でも……
「レイさん!
いるなら開けろ!
俺…ちゃんとアンタと話したいんだよ!」
少し上ずって
余裕のないこの声を聞いただけで
胸の奥がトクトク脈打って
苦しくて苦しくて
たまらなくなる。
――亮ちゃん、亮ちゃん…!!
気がつくと
あたしは部屋着のまんま飛び出してた。
この後どうなるのかなんて
亮ちゃんがどうしてココに
来たのかなんて、関係なかった。
ただ会いたかった。
大好きで大好きでたまらない彼に
会いたくて会いたくてたまらなくって
あたしはそれだけの気持ちを抱えて
玄関へと飛び出した。