ボクがキミをスキな理由【短編集】
――亮ちゃん…
久しぶりに会う
亮ちゃんの顔
久しぶりに聞く
亮ちゃんの声
彼の全てが懐かしくて
切なくて
愛おしい
彼を見つけた私の瞳には
薄い涙の膜が張ってきて
上手く彼を見つめられない。
――ヤダ…。
もっと彼を見つめていたいのに
もっと彼を感じていたいのに
私の瞳は涙でにじんで
上手く彼を見つめられない。
涙をぬぐうことも忘れて
ボーゼンとしながら
ただ彼を見つめていると
「レイさん~。
おっきな涙、落っこちちゃうよ?」
亮ちゃんは呆れたように笑うと
私の涙をそっとぬぐった。