ボクがキミをスキな理由【短編集】
それを聞いて…
思い出すのはノブのこと
“ヤリマン・レイちゃん”
そう言って私を罵ったノブは
どれほど亮ちゃんの心を
傷つけたんだろう
心の奥がズクズク痛む
自分が傷つけられてるより
もっと苦しい
あたしの過去はあたしの罪
どんなに痛い目に合っても
イヤに目に合っても
自業自得でしょうがないと
思えるけれど……
その痛みに他人をも巻き込んで
悲しませているのかと思うと、
苦しくてたまらなくなる。
「ごめんなさい……」
なんだか傷ついたような顔をした
亮ちゃんに申し訳なくなって
彼のジャケットの裾を掴みながら
小さくポツリとつぶやくと
「でも……
そんなの俺の勝手な
被害妄想だったんだよな。」
そう言って亮ちゃんは
あたしの頭をポンポンと叩く
――え……??
驚いて顔をあげると
「レイさんの過去なんて反吐が出そうなくらい許せねぇし、レイさんの過去の恋人なんて殺してやりてぇほどムカツク。
俺の知らない顔を知ってるやつがいるかと思うと殺意を覚えるし、全てにムカついて仕方ねぇ。」
そう言って
亮ちゃんは見たこともないような
不機嫌な顔を見せて
ギラリギラリと私を睨む
――こ、怖いっ!!!!
彼から発せられるシネシネビームに
おののきながらガタガタブルブル
震えていると
「だけど……難しいんだよなぁ。
アンタを嫌いになることが。」
そう言って
亮ちゃんはあたしのカラダを
ギュウっと優しく抱きしめる。