ボクがキミをスキな理由【短編集】
その後も弥生はKiriについて
熱く熱く、語りだし
葉月は“バッカじゃないの”と
笑いながら、弥生の妄想に
軽く突っ込む。
そんなやり取りを笑いながら見ていると
カバンの中で携帯がフルフルと
震えていた。
驚いて携帯を開いてみると
そこに出てきたのは
【成宮仁】の文字。
――成宮君!!
タイムリーに現れた
彼の名前にドキドキしながら
「ちょ、ちょっとごめん!!」
弥生と葉月に断って
携帯を持ったまま、お店の外に
パッと飛び出す。
お店の人に迷惑のかからない場所に飛び出すと、ハァ~と大きく深呼吸をして
「もしもし…」
意を決して通話ボタンを押す。
すると私の耳に飛び込んできたのは…
「あ、星野さん??」
優しくて温かい
大好きなカレの声。