ボクがキミをスキな理由【短編集】
「うん、誘ってくれてありがとう。
成宮君。」
「うん。急に電話してゴメンね。
また明日。」
「うん、また明日。」
ドキドキしながら電話を切ると
ガラスの向こうから弥生と葉月が
ニヤニヤしながら私のコトを
見つめている。
うう…
なんだか気まずい空気…
居心地の悪さを感じながら
中に入ると
「成宮からぁ~??」
「いいわねー。
カレシ持ちはラブラブで~。」
ドリンクをすすりながら、
イヤミたっぷりなジトーっとした瞳で
見つめる弥生と葉月。
「もうっ!別にいいでしょ!!
いっぱいいっぱいなんだから
そっとしといてよ~!!」
そう言って泣きつくと
2人はクスクス笑いながら
「オールマイティーだと思ってた我らの姫にも、苦手な分野があったのねー。」
と、面白そうに呟く。
――もうっ、バカにしてっ!!
プリプリ怒りながら二人に抗議していると、さっきまで頭を掠めていた“左耳のホクロ”のコトなんて頭の中からすっかりと抜け去ってしまっていて。
私は次の日曜日のデートに想いを馳せて、最高潮にドキドキしていた。
あのKiriと成宮君のホクロの位置は、ただの偶然
そう信じて、
何も疑わずに。