ボクがキミをスキな理由【短編集】
えっ、えっ、えっ??
へ、変態??
目の前にいる、
地味な制服を身にまとい
黒縁メガネで
目立たない彼を見て
私は頭の中がパニックになっていく。
この成宮君のお父さんが…変態!?
そんなわけ、あるはずがない。
だってカレはこんなにきちんとしているのに。
正しいと書いて“成宮仁”と読むってくらい、真面目できちんとした性格をしているのがカレなのに。
信じられない気持ちでカレを見つめていると
「俺と父親は似てないから。」
自嘲気味にカレは答える。
「ま、面白い男ではあるけど…
ちょっと父親としては失格かもね。」
そう言って
思い出したようにクスクスと笑う、成宮君。
いつも仏頂面のカレが表情を和らげたことが、珍しかったんだろう。
葉月と弥生は驚いたように、少し気味悪そうに、成宮君をじぃっと見ている。