ボクがキミをスキな理由【短編集】
「今日はカノジョとの初デートって設定で撮っていきますんで、よろしくお願いします。」
「…了解。
なんかポーズとか指定されながらですか?それともラフな感じで??」
「あぁ!ポーズの指定は一切しませんから安心してください。そのまんまの普段の感じで構いませんから。」
潮見さんとKiriさんはサラッとした会話の中でサクサクと撮影の段取りを決めていく。
――すごいなぁ……
なんだか上手くいえないけど2人とも“the 仕事人”って感じ。
私はバイトもしたことないし、したことのあるお仕事なんてお家のお手伝いくらいしかないけれど、こういう“デキル男”な雰囲気って憧れちゃうなぁ。
撮影のコトなんてすっかり忘れてオトナな2人の会話に聞き入っていると
「じゃぁ…紹介しますね、今日のモデル。」
ドッキーーーーン!!!
突然、矛先が私に変わる。
その瞬間、私の隣に座っていたスタイリストのお姉さんが
「じゃ、行こうか。沙良ちゃん。」
こっそりと私の耳に耳打ちする。