ボクがキミをスキな理由【短編集】
私はコクンと頷いて早鐘を打つ心臓を押さえながらゆっくりと歩き出す。
コツコツコツコツ
履きなれない靴の足音が小さく鳴って、胸のドキドキがもっともっと大きくなる。
――うう~!緊張して死にそう…!!
ドキドキというよりバクバク音を立てる心臓を必死に押さえて、パーテーションの迷路を抜けてKiriさんの待つオープンテラスへ向かうと
「紹介しま~す。
今日の相手役・星野沙良ちゃんで~す。」
潮見さんは私を迎えに来てくれて、Kiriさんの目の前まで私をエスコートしてくれた。
――もう限界!!
緊張がピークに達して
私はKiriさんの顔なんて
一秒も見れない。
必死にうつむきながら
「はじめまして、星野沙良です。
今日はよろしくお願いします!!」
そう深々とお辞儀をして
勇気を出して顔を上げると、
そこにはこの世のものとは思えないほど
きれいに整った顔があった。