ボクがキミをスキな理由【短編集】


Kiriさんは疲れたように
ハァ~とため息を吐くと


「どうぞ??」


さりげなく私の椅子を
後ろにひいてくれる。





「あ、ありがとうございます。」

「いえいえ。」




引かれたイスにゆっくり座ると
Kiriさんは私が
座りやすいように
ゆっくりとイスを前に
持ってきてくれる。





――すごいなぁ……






その一連の動きは
まるで映画のワンシーンのように
美しくて、



息をするように
あまりに自然で。



この世界にこんな人がいたんだと
尊敬の眼差しで
私はKiriさんを見つめる。





ボーっとしながらKiriさんの
一連の行動を目で追っていると




「どうしたの?星野さん。」


「ふ、ふぇっ!!?」




ほ、ほしのさん!!?




Kiriさんは突然
こんな呼び方をして
私を呼び止める。




聞きなれた
懐かしい呼び方に驚いて
ハッと顔を上げると




「そんなにジィっと見つめられたら、さすがの俺もテレちゃうんだけど??」


「え……??」



そう言って
Kiriさんはフフッと
軽やかに微笑む。




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