ボクがキミをスキな理由【短編集】

・近くて遠い私のカレシ



「おつかれさま~!」


「ありがとうございました~!」




撮影を終えたスタッフさん達が、開放感に溢れた顔でお互いに労をねぎらう。




「ありがとう、沙良ちゃん。
おかげでいい絵が撮れたよ!」




ニコニコした顔で
私の肩をポーンと
叩いたのは
この撮影の仕掛け人
潮見さん。




「あ、いえ…
私は何にも……。」




ホントに…
私は何にもしてない。


いつもみたいに
成宮君とお話して
時々、カレがカメラを意識した
ポーズを取っていただけで…



私はコレと言って
何かをしたわけでも
なんでもない。



ただ、イスに座って
カレと話をしていただけだ…





仕事というには申し訳ないくらい全く役に立てなかった、自分の至らなさに思わずうつむくと




「いや、今日のKiriの表情を撮れたのは確実に沙良ちゃんのおかげだよ。」




そう言って
潮見さんはニッコリと微笑む。



< 313 / 461 >

この作品をシェア

pagetop