ボクがキミをスキな理由【短編集】
・近くて遠い私のカレシ
「おつかれさま~!」
「ありがとうございました~!」
撮影を終えたスタッフさん達が、開放感に溢れた顔でお互いに労をねぎらう。
「ありがとう、沙良ちゃん。
おかげでいい絵が撮れたよ!」
ニコニコした顔で
私の肩をポーンと
叩いたのは
この撮影の仕掛け人
潮見さん。
「あ、いえ…
私は何にも……。」
ホントに…
私は何にもしてない。
いつもみたいに
成宮君とお話して
時々、カレがカメラを意識した
ポーズを取っていただけで…
私はコレと言って
何かをしたわけでも
なんでもない。
ただ、イスに座って
カレと話をしていただけだ…
仕事というには申し訳ないくらい全く役に立てなかった、自分の至らなさに思わずうつむくと
「いや、今日のKiriの表情を撮れたのは確実に沙良ちゃんのおかげだよ。」
そう言って
潮見さんはニッコリと微笑む。