ボクがキミをスキな理由【短編集】
――え…??
潮見さんのその発言にびっくりして、顔を上げると
「あんなに…柔らかな顔で笑うアイツを俺は初めて見たよ。」
そう言って
潮見さんはフフッと笑う。
「いつもクールで隙のないモデルのKiriも魅力的だけどね。俺は…素顔のアイツを撮りたかった。」
「素顔の…Kiri?」
「そう。
ありのままのアイツをね。」
潮見さんはスタッフさん達と談笑する成宮君を一瞬見つめて、私の方に向き直る。
「ビックリしたよ。
アイツにあんな柔らかで人間臭い表情ができるだなんて。」
――え…??
「キミは本当に凄い女の子だね。
きっと今日切り取ったアイツの表情は…
キミにしか引き出すことが出来ない。
アイツは本当に沙良ちゃんに惚れてるんだな。」
成宮君が私を…??
潮見さんがくれたその言葉。
その言葉の意味を確かめるように、私はそうっと成宮君を盗み見た。