ボクがキミをスキな理由【短編集】
「玲央には玲央の事情ってヤツがあんだよ!それを俺たちがどうこう言うのはおかしいと思わねぇか?!」
太一よりも少し精神年齢の高い拓海は、そう言って太一をしかりつける。
だけど……
「ふーんだ。
そんな脅し、俺には通用しないもんねー、っだ!!反対、反対、断固反対~っ!!」
ガキンチョ太一には
そんな言葉は届かない。
反対、反対、断固反対!!
を連呼する太一の肩をポンポンと叩くと
「ほんなら……言うてやるわ。」
「へっ??」
「俺が海外に行きたいんには、理由がある。」
そう言って
俺は太一に向かって
ニッコリ微笑む。
「太一。
俺が海外に行きたい理由はな??
惚れた女と約束したからや。」
「約束……??」
「そうや。
アイツの見られへんかった世界、全部俺が見てきてやるって……約束したんや。」