ボクがキミをスキな理由【短編集】
人のよさそうな
でもどこかオシャレで
粋な雰囲気を持つその
おじいさんに
「あ、あの…
俺Simbaの歌が聞きたくて…」
素直にキモチを伝えると
「あぁ、君アンナのトモダチなのかい。」
おじいさんは俺の肩をぽんと叩いて、ニッコリと微笑む。
その笑顔に安心して
「あ、はい!
そうなんです!!」
コクコクと頷くと
「うーん…本当は未成年はお断りしてるんだけど…アンナのトモダチならしょうがないね。あの奥の席でいいならこっそり見てていいよ。」
そう言って
おじいさんはフロアーの奥にある、小さなカウンターを指差す。
――ありがたい
別に場所なんてどこでもええ
アンナの歌が聴けるなら
俺は場所なんてどこでもよかった
せやから俺は二つ返事で
こう答えたんや
「場所なんてどこでもいいんです。
ありがとうございます!!」
深々とお辞儀をして
意気揚々とシートに向かうと
おじいさんはニコニコ笑って
「いい夜を、少年。」
俺の肩をポンと叩いた。