ボクがキミをスキな理由【短編集】
仕事帰りのオジサマ方に
そのオジサマに連れてこられた
品のいい女性達
店内にうっすらと流れる
サンボーンのSAXの甘い音色
宝石みたいにキラキラと彩られた
カクテルたちに
芸術的に盛り付けられた、フード
白熱灯とランプの
アンティークな雰囲気に彩られた店内は
なんだか幻想的で
俺は一気に自分がオトナになったかのような錯覚に陥った。
――すごいな…
こんな店であの人歌ってんのか
期待に胸を膨らませながら
アンナの登場を待っていると
徐々に店内が暗くなってきて
前方に準備されたステージに
明るくパァっと灯がともる。
そして大きな拍手と共に
アンナは舞台に姿を現した。