ボクがキミをスキな理由【短編集】
エスプレッシーヴォに行く…っていうんも考えたけど、あの日の雰囲気を思い出すとなんだか気が引ける。
あんなオトナで高級感溢れる場所、中学生の俺が似合うわけないやん??
そんなこんなでクソガキの俺はあの場所には完全に白旗をあげてたんや。
だから……
俺はあの日の奇跡を信じて
毎日あの時間に
あのボードウォークに出かけてたんや
もう一度だけ
アンナに会いたい
ただ、その一心で。
毎日毎日
アンナに会ったあの時間に
俺は自転車を走らせる
――あほやなぁ、俺。
こんなことしてたって
何も報われたりせーへんのにな。
会える保証もない
会ってもどうなるモンでもない
向こうが俺のこと
覚えてる保障もないのに。
「知らんかった~。
俺って結構一途でけなげなオトコやったんやな。」
ボードウォークの近くに着いて
自転車から降りてテクテクと
自転車を押しながら呟くと
「誰が一途でけなげなの~??」
白いワンピースに身を包んだまんま
ベンチに座って頬杖をついたまんま
フワフワのロングヘアーをたなびかせながら、アンナはふんわりと俺に笑いかける。