ボクがキミをスキな理由【短編集】



ピッピッと相変わらずカンに触る電子音



言葉もなく見つめあっている俺達を見て



「俺、一回家に帰ってくるわ。」



オヤジがどっこらしょと言いながら、腰上げる。




「えっ?!オヤジ?!」





驚いて声をあげると



「お前、しばらく入院生活やろ?
着替えが必要やし、米田先生に明日のコト伝えなアカンからな。
ま~、明日の朝イチでここに戻るようにするから…おまえらはゆっくり納得行くまで話したらエエ。」




そう言って
オヤジはニッコリと微笑んだ。




そしてアンナの方へ振り返ると




「アンナさん。俺には詳しい事情はよくわからへんけど……後悔の残る選択はしたらあかんで?」


「……え?」



「人はどんなに傷ついても、傷つけられても、何度でも再生できる強い生き物やから。
レオの気持ちなんて考えずに自分らしく生きるんやで??」




それだけを言い残して
オヤジは後ろ手でバイバイしながら、病室を後にした。



< 443 / 461 >

この作品をシェア

pagetop