ボクがキミをスキな理由【短編集】
ピッピッと相変わらずカンに触る電子音
言葉もなく見つめあっている俺達を見て
「俺、一回家に帰ってくるわ。」
オヤジがどっこらしょと言いながら、腰上げる。
「えっ?!オヤジ?!」
驚いて声をあげると
「お前、しばらく入院生活やろ?
着替えが必要やし、米田先生に明日のコト伝えなアカンからな。
ま~、明日の朝イチでここに戻るようにするから…おまえらはゆっくり納得行くまで話したらエエ。」
そう言って
オヤジはニッコリと微笑んだ。
そしてアンナの方へ振り返ると
「アンナさん。俺には詳しい事情はよくわからへんけど……後悔の残る選択はしたらあかんで?」
「……え?」
「人はどんなに傷ついても、傷つけられても、何度でも再生できる強い生き物やから。
レオの気持ちなんて考えずに自分らしく生きるんやで??」
それだけを言い残して
オヤジは後ろ手でバイバイしながら、病室を後にした。