ボクがキミをスキな理由【短編集】
――ほんま……頼むわ
アンナは俺がどんなに自分のことが好きか、まったくわかってない
アンナがそんな笑顔を俺に向けるたび
こんな風に優しい言葉をかけるたびに
俺は心臓がギューってなって、うまく息ができなくなる。
そんな俺の情けない心の内なんて
目の前にいる、この人は何一つ知らんのやろなぁ……。
真っ直ぐに俺だけを見つめる、アンナ
その瞳に見つめられるだけで、ドキドキして、顔がタコみたいに高揚してしまう。
「そ、そんならええねん。」
いたたまれなくなって、うつむき加減にシーツをギュッと握りしめて、ようやくそれだけを呟く。
そんな俺を見てクスッと笑うと
「私、オジコン趣味はないから。」
「お、オジコン?!」
「そう。勘違いしないで、レオ。
私、オジサマコンプレックスはあいにく持ち合わせていないの。」
そう言って
アンナは俺の手を右手をギュッと握りしめる。
「ただ……好きになった人が一回り近く年上だっただけ。
私は……そう思ってるわ。」