ボクがキミをスキな理由【短編集】
『恋と愛、二つが存在しないと恋愛は成立しない』
何かの本でそんなセリフを読んだことがある。
俺はそのフレーズを読みながら
「アホか!!そんなん当たり前やないか!!」
と、バカにしながら叫んだ覚えがある。
でも……
今は身を持って“そのとおりや”と感じることができる。
アンナは俺をかわいがって、
愛してくれる
キスだってすれば、
セックスだってする
抱きしめれば
抱きしめ返してくれるし
好きだといえば
“私も”と返してくれる
でも……
ソレは愛であって恋やない。
ペットをかわいがる気持ち
愛する気持ちと
正直なところ大差ない。
愛はあるのに
恋はない
そんな俺達が一緒にいたって…
幸せな未来なんて描けられへんやろ。
だってアンナが心の底から欲しいと思った男はきっと譲さんだけやから。
身も心もボロボロになるくらい
自分の未来を簡単に捨てられるくらい
恋焦がれたオトコはきっと譲さんだけやから
アンナが俺を選ぶんは間違ってる。
そんなん、エエとこ傷の舐めあいやんか。
きっとこの関係をずっとこの先続けても、いつかアンナはこの日を後悔するに違いない。
俺もいつも疑心暗鬼でアンナを見つめるに違いない。
そして……
そんなコト続けてたらきっとお互い疲れてしまって、壊れてしまうに違いない。