ボクがキミをスキな理由【短編集】
「自信?」
「そうや。
アンナの求める譲さんの存在に怯えながら過ごす自信もなければ、譲さんの完璧なコピーロボットになれる自信もない。
アンナ。
俺はきっとお前と一緒にいたら、卑屈で後ろ向きでいつも自分に自信のないつまらない男になってしまうわ。
だから……
俺はお前と一緒にいられない」
アンナと一緒にいたい
誰よりも愛してほしいし
誰よりも側にいてほしい
せやけど……
今の俺じゃコイツを幸せにすることなんて夢のまた夢の話。
依存しあって
寄生しあって
傷を舐め合うだけなら
誰にでもできる
でも俺はそんな関係が欲しいんやない
認めあって
許しあって
高めあっていける、関係が欲しいんや。
譲さんとアンナのように…………。
「源氏物語ごっこはこれでお仕舞いにしよ。
紫の上はいつまでたっても継母の女御様には勝たれへん。」
勇気を振り絞って
必死の思いでそうアンナに訴えると
「……わかったわ。」
そう言って
アンナは静かに椅子から立ち上がり
「バイバイ、レオ。」
何事もなかったかのように
振り返りもせず
俺の病室から出ていった。