ボクがキミをスキな理由【短編集】
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「……で?
その後、その杏奈さんとはどうなったんだ?」




昼休みも終わりにさしかかろうという頃、拓海は俺にそう問いかけた。




「どうなったもこうなったも、それっきりや。」



「えぇっ?!」



「アンナと会ったんはそれが最後。
その後はどうなったんかは知らへん。」






ケラケラと笑いながら答えると





「うわ~、そのオンナ最悪だね。
ヤルだけヤッて、弄ぶだけ弄んで、逆らった瞬間にポイだなんて!!
最悪、最悪!!マジで最悪!!」





太一はプーッとほっぺを膨らませながら、プリプリと怒ってみせる。






――う~ん……

それはお互い様やろう、太一……





太一が由美ちゃんにつけた傷と後悔


それを思えばこんなこと言えるハズもないのに




「キイ~ッ!!
そういうオンナはろくな死に方しないよっ!
譲さんとかいう叔父さんにボロボロにされて捨てられちゃえばいいんだっ!!」





とか言いながらプリプリ怒る。






ウーン
これは近親憎悪ってやつなんやろうか。






人は自分と似てるヤツを無意識に嫌う傾向にあるからなぁ……






一人プリプリ怒る太一を横目にそんなことを考えていると



「本当にそれっきりなのか?」



拓海は心配そうに俺に尋ねる。



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