ボクがキミをスキな理由【短編集】



そして……
俺はポケットの中に入ってる携帯電話をギュッと握りしめる。




アンナが俺にくれた最初で最後のラブレターはこの携帯の中に大切に保管されとる。






あの事故から二週間後
俺は無事に退院。



海星のみならず高波男子高校の試験にも案の定、間に合わなかった、俺。



全日制は諦めて定時とか通信制の高校を探していたら、たまたま高波の二次募集を受けられることになり、今に至る。





『海星には縁がなかった』








そう病室で呟いたオヤジの気持ちが今になってよくわかる。




きっと俺は高波で拓海や太一、それに俺を取り巻く全ての人に出合う必要があったんやろう。






とにかく……






高波の二次募集にうまく滑り込んで、高校浪人を免れた俺は、その足で携帯ショップに急いだ。




実はあの事故で携帯を大破した俺。





幸いカードだけは無事やったから、電話番号もメアドも何もかもそのままで大丈夫やったんやけど、いかんせん時間がなくて今まで携帯電話のない生活を余儀なくされてたんや。




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