ボクがキミをスキな理由【短編集】


やっとの思いで手に入れた携帯電話に電源を入れると、その後、ありえへんぐらいの受信メールが次から次へと送り込まれてきた。




――げぇ……。





中学の男友達どもに
女友達




どれもが俺の事故と
俺の進路を心配したモンやった。




う~ん、
これはありがたいけど、返信が面倒くさい……。




頭をポリポリ掻きながら、受信メールを1つ1つ読んでいくと



『アンナ』



と書かれた未開封のメールが現れる。







――アンナ……





懐かしさにも
愛しさにも似た気持ちで

急く気持ちを押さえながらメールを開くと
そこにはこんなラブレターが綴られてたんや――……









『望月玲央様

怪我はよくなりましたか?
ちゃんと高校生になれましたか?


このメールがレオに届くかどうかはわからないけれど、届くと信じて送信します。



ほんとは……ね?



マスターに本当の手紙を預けようかなぁとか、いつもデートしてたボードウォークのベンチに張り付けようかなぁ、とか、色々考えたんだけど……。


書く決心がつかずにメールにしてしまった私をどうか許してください。



レオ


信じてもらえないかもしれないけれど
私はあなたを愛しています。




あなたといた時間は夢のように幸せで、温かくて柔らかで、私はいつもあなたに甘えてばかりでした。



一生懸命、ひたむきに、私を好きだと言ってくれるレオがいとおしかった。



あなたをとびきり悪くてセクシーで危険な男に育てたいと思っていたけど……、そんな必要はなかったみたい。



あなたはそんなことしなくても、十分魅力的な優しい男だったから。




今のままが一番素敵よ?レオ。




今のままのあなたが一番素敵。


< 458 / 461 >

この作品をシェア

pagetop