ボクがキミをスキな理由【短編集】
やっとの思いで手に入れた携帯電話に電源を入れると、その後、ありえへんぐらいの受信メールが次から次へと送り込まれてきた。
――げぇ……。
中学の男友達どもに
女友達
どれもが俺の事故と
俺の進路を心配したモンやった。
う~ん、
これはありがたいけど、返信が面倒くさい……。
頭をポリポリ掻きながら、受信メールを1つ1つ読んでいくと
『アンナ』
と書かれた未開封のメールが現れる。
――アンナ……
懐かしさにも
愛しさにも似た気持ちで
急く気持ちを押さえながらメールを開くと
そこにはこんなラブレターが綴られてたんや――……
『望月玲央様
怪我はよくなりましたか?
ちゃんと高校生になれましたか?
このメールがレオに届くかどうかはわからないけれど、届くと信じて送信します。
ほんとは……ね?
マスターに本当の手紙を預けようかなぁとか、いつもデートしてたボードウォークのベンチに張り付けようかなぁ、とか、色々考えたんだけど……。
書く決心がつかずにメールにしてしまった私をどうか許してください。
レオ
信じてもらえないかもしれないけれど
私はあなたを愛しています。
あなたといた時間は夢のように幸せで、温かくて柔らかで、私はいつもあなたに甘えてばかりでした。
一生懸命、ひたむきに、私を好きだと言ってくれるレオがいとおしかった。
あなたをとびきり悪くてセクシーで危険な男に育てたいと思っていたけど……、そんな必要はなかったみたい。
あなたはそんなことしなくても、十分魅力的な優しい男だったから。
今のままが一番素敵よ?レオ。
今のままのあなたが一番素敵。