ボクがキミをスキな理由【短編集】
ドキドキ。
ドキドキ…。
どうしたんだろう。
成宮くんのあの笑顔とメモを見ると、さっきみんなに笑われた時より、もっともっと心臓がドキドキする。
「はーい。じゃあ答え合わせするぞー。
ここはxを代入して……。」
向井センセの声が教室の中に響いて、午後の柔らかな日差しが窓の外から私たちを暖かく包みこむ。ふと彼を見ると、色素の薄い彼の髪が日の光に当たってもっと茶色く見える。
ドキドキする。
彼を見てるともっと彼が知りたくて
もっと近づきたくてドキドキする。
不運だった、数学の点数。
だけど…
彼のコトをもっと知れるチャンスを貰えたんだと思うと、私はとっても幸せに思えた。