ボクがキミをスキな理由【短編集】
ドキドキしながら
「何読んでるの?」
と訊ねると
「ん?ただの小説。」
成宮くんは笑いながら読んでいた本を私の前に差し出した。
差しだされた小説の作家は私の大好きな女流作家の作品で。
「あ、私この人大好き。
成宮くんも好きなの??」
と訊ねると
「本当?
俺もこの人の小説好きなんだ。読みやすくてわかりやすくていいよね。」
彼は屈託のない顔でニッコリ笑った。
そこからは、どの作家のどの作品が好きかとか、この話も面白いよとか、本の話で盛り上がってしまって。気づけば30分近く、雑談に費やしてしまっていた。