ボクがキミをスキな理由【短編集】
「あ、マズイ!!
雑談してる場合じゃなかったね!!プリント見せて?」
進みすぎた時計の針に気づいたのは、成宮くん。彼はペラペラとプリントをめくって、難しそうな顔をして考えこんでる。
ホントなら、やっと本題に入れるって喜ばなきゃいけない所なのに、私の心の中は寂しい気持ちでいっぱい。
もっと、おしゃべりしたかったな。
もっと、成宮くんの笑った顔が見たかった。
彼のコトがもっと知りたい。
数学の公式よりも何よりも、彼の心の中がもっと知りたい。
そんな私の頭の中を知ってか知らずか。成宮くんはプリントにシャーペンでチェックを入れながら、私を見てニッコリと微笑む。
「一枚ずつじゃなくて、傾向とか解き方が同じものから解いていこうか。」
そう言って成宮くんは私の前にプリントと参考書を取り出した。