恋ってなぁに?
あたしは彼から目が離せなかった。
立ち止まり、奈々が待ってるだろうことも忘れて、彼に見入った。
彼もなぜか、あたしから目を離さない。
そんな時、聞こえてきた高い声…。
「す…好きです、小林君!」
それは彼と一緒にいた女の子の声だった。
一気に現実に引き戻される。
てか、なななな生の告白現場を目撃してしまった…!!
女の子は未だに、あたしの存在に気付いていない。
女の子に対して申し訳ない気持ちになったあたしは、そろりそろりと元来た階段を下りようとした。
「…ごめん。気持ちは嬉しいけど好きなやついるんだ…」
少し早口な低い声。
「…そっか。伝えられただけでも良かった。聞いてくれて、ありがとね」
女の子は最後にそう言い、パタパタと階段を上っていった。
女の子が去り、階段にはあたしと彼だけになった。