汝、風を斬れ
セントは立ち上がった。
「城に来たら、母親がいた。母さんからこの事を聞いた。信じられなくて、親父がいるはずの謁見の間に走った。部屋には入れたけど、ちょっと気を散らしたら結界越えられなくて、ここに飛ばされたんだ。で、あとはこの方に聞いた」
隣の牢との仕切である壁の前に立つ。壁に何か模様を描き、それをめがけて思いきり殴った。大きな石の壁はそこだけ脆い土塀の様に崩れる。人が通れる程の穴が開いた。壁の向こう側にいた人がセントに言う。
「できれば、何か言ってから壊して欲しかったんだが」
土煙に咳をしながら言う、その声。
「……お父様?」
着ている者は質素だが、王家の証である髪と瞳を持った紳士。
「キュア……」
「お父様、ご無事で……」
キュアの目に涙が浮かぶ。王は娘をしっかりと抱きしめた。
「キュア! いるのか?」
もう一つ向こうの牢から声がかかる。
「お兄様!」
場の空気はにわかに和んだ。
「城に来たら、母親がいた。母さんからこの事を聞いた。信じられなくて、親父がいるはずの謁見の間に走った。部屋には入れたけど、ちょっと気を散らしたら結界越えられなくて、ここに飛ばされたんだ。で、あとはこの方に聞いた」
隣の牢との仕切である壁の前に立つ。壁に何か模様を描き、それをめがけて思いきり殴った。大きな石の壁はそこだけ脆い土塀の様に崩れる。人が通れる程の穴が開いた。壁の向こう側にいた人がセントに言う。
「できれば、何か言ってから壊して欲しかったんだが」
土煙に咳をしながら言う、その声。
「……お父様?」
着ている者は質素だが、王家の証である髪と瞳を持った紳士。
「キュア……」
「お父様、ご無事で……」
キュアの目に涙が浮かぶ。王は娘をしっかりと抱きしめた。
「キュア! いるのか?」
もう一つ向こうの牢から声がかかる。
「お兄様!」
場の空気はにわかに和んだ。