汝、風を斬れ


「ジン!」
 キュアをジンがいるであろう方向へ押す。キュアの体は面白いように床を滑る。
「姫」
 ジンがキュアをしっかりと掴んだ。煙が晴れてゆく。

 コツコツコツ。

 セントは立ち上がり、左手を開く。手のひらの幾何学模様は光って浮かび上がり、そして手にセントの刀アンクスが握られる。
「ほう、そんな技も使えるようになったか」
 懐かしい声だ。低く、乾いた声。
 セントは傍らに転がった、上から落ちてきた刀を拾い、声の主へとは反対の方向へ投げる。
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