汝、風を斬れ
その時、セントの目に不思議な物が見えた。父親の背中の向こうに、数え切れない程の、自分と同じ髪の色をした者の影がある。そしてそれらは口々に王家への恨みを吐き、それが一つの塊となってヴェルズの口から言葉が出ているようなのだ。つまり、ヴェルズが操られている。
「過去の王がしたことは間違っていたわ」
「ほう、認めるか」
「存在を否定されるなんて耐えられない。しかし、父子喧嘩でなくても復讐なら、私達だけを狙ってすればいい。国民を巻き込むことなんてないわ」
「我々は貴様の母親以外、殺してはいない」
「セントのお母様も殺したじゃない。それに、王立の機関も止まった。親のない子供達や、貧しい人達への支援も止まったのよ」
「そんなことは暫時回復する。我々が王となり、再び動かせば済むこと」
「そういうことではないわ。今は、裏王家が追放された当時とは事情が違うの。おわかりなさい、この国は長い時間をかけてここまで成長したのよ。あなたはそれを崩そうとしている」
「また積み上げて行くのみ」
「そういうことじゃない……」
キュアの言葉が詰まった。ヴェルズは再び鼻で嗤った。
「過去の王がしたことは間違っていたわ」
「ほう、認めるか」
「存在を否定されるなんて耐えられない。しかし、父子喧嘩でなくても復讐なら、私達だけを狙ってすればいい。国民を巻き込むことなんてないわ」
「我々は貴様の母親以外、殺してはいない」
「セントのお母様も殺したじゃない。それに、王立の機関も止まった。親のない子供達や、貧しい人達への支援も止まったのよ」
「そんなことは暫時回復する。我々が王となり、再び動かせば済むこと」
「そういうことではないわ。今は、裏王家が追放された当時とは事情が違うの。おわかりなさい、この国は長い時間をかけてここまで成長したのよ。あなたはそれを崩そうとしている」
「また積み上げて行くのみ」
「そういうことじゃない……」
キュアの言葉が詰まった。ヴェルズは再び鼻で嗤った。