汝、風を斬れ
「セント」

 二人きりになった謁見の間でキュアは尋ねた。
「私、まだどういうことなのか、よくわからないの」

「反乱は、終わりました」
「本当に?」
「はい。これを起こしたのは親父だけじゃなくて、むしろ昔の王達の遺志だった。それが親父を動かし、反乱を起こさせた」
「あなたは、これからどうするの?」
「親父の最期を見届けて、それから死にます」
「……それまでは?」

「できれば、普段の生活に戻りたい。一兵士として」
 セントは感情を面に出さないように努める。俺は上手く笑えているだろうか。

「ここは俺のいるべき場所ではないから」

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