汝、風を斬れ
「キュア」
セントと入れ替わるようにして、父と兄が謁見の間に入った。キュアは自分で涙を拭った。
「キュア、さあ、部屋に行って何かきちんとしたドレスを着てきなさい。私達は変わらなければならない。お前のことをきちんと国民に知らすのも、その一つだ」
父は言った。兄が続く。
「キュア、セントという兵士は何処へ行ったのだ。彼には礼を言わなくてはならない」
キュアは答える。
「その者は去りました。去り際に、どうか特別視するようなことは止めてほしいと言っていました…」
言ってはいない。けれど何かそのようなことをしてもセントは喜んだりしないだろう。かえってそれを嫌うのではないだろうか。
「そうか……ならば仕方がないな。彼に誰か愛する者はいるのだろうか、ジン」
呼ばれてジンが部屋へ入る。ロビン・スージェを連れて。