汝、風を斬れ
「どのような方でしたか」
キュアとシュトゥーヘンの王子が顔を合わせた時、ジンはその場に居合わせなかった。部屋に戻り、キュアに尋ねる。
「目が嫌い」
「嫌い、とは……」
キュアは厭厭をしながらジンの苦笑を受け流し、窓を開けた。秋の爽やかな風が入る。随分伸びてきた髪が軽やかに靡く。
「あ、やっていますね」
ジンが後ろから声を掛ける。
「ほら、」と城から見える、兵舎の芝の広場の方を指さす。ずいぶん賑やかだ。
「今日は武術大会なんですよ?」
武術大会。年に一度の兵士の祭である。三日かけて様々な競技で己の力や技術を争い合う。