汝、風を斬れ

「私も、どうしてもと言われて投げ矢に参加してきました。ナイフは競技に無いので」
「それでいなかったのね」

「はい」
 そう申し訳なさそうに答えるが、どこか楽しそうなのをキュアは見抜いている。

「結果は? どうだったの?」
「決勝にまで行きましたが……負けましたよ」
 ジンは秘密を溢すように声を潜めた。しかし、その声には笑みが含まれている。

「セントに」
「……セント」
「はい」
 キュアの顔は、とても穏やかなものになった。
「反乱なんて起こらないに越したことはないけれど……」
「けれど?」
「反乱がなかったら、私はセントに会えなかったわ」
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