汝、風を斬れ
「今年の総合優勝は……セント・ソーザ!!」
セントが杯を高々と持ち上げる。大きな歓声に続き、ポンポンポンとあちこちで祝福のための酒が開けられた。芝の鮮やかな緑と澄み切った青空が、兵士達を穏やかに見守っている。会場はやがて和やかな空気になる。
「セント」
「キュ……姫様」
一年ぶりで、しかも別れ方はあんなで。
「おめでとう」
キュアは努めて明るく言った。
「ありがとうございま」「せぇーんとー、おめれとー」
割って入ったのはセントの友人。相当酔っている。
「おい、トーマ、やめろ。姫様の前だぞ」
「姫様ぁ?」
トーマは、セントの肩に腕をかける。
「姫様ぁ、セントがさぁ、ここ一年くらいずっと、姫様ぁ、キュア様ぁ、ってやってるんスよぉ」
あははぁ、と笑ってトーマは別の輪に絡みに行った。