汝、風を斬れ
第十四章 厳守
「どうして……こんなことをするんだ……」
「俺はあの女と結婚する。あんたがいたら邪魔だ。だからあんたは、俺か、あの緑の奴に殺されろ」
「……馬鹿じゃないのか? 何もしなくたって、お前は姫と」
「いや? あんたがいたらわからねぇ。あんたに正統言われたら、敵わないからな。しないとも限らないだろ? あんたが国を捨ててまで惚れ込んだ姫が、出来の悪い弟のものになろうとしてる」
「私は全てを覚悟して国を出た…」
「でもなぁ……あんたが戻れば国民は喜ぶだろうな。生きててよかった、やはり正統に第一子が王権を継ぐべきだってね。次男坊何ざ、長男がちゃんとあれば御用なし。とりあえず死なないように生きればいい」
「何が言いたい……」
「言いたいこと? それは一つだ」