汝、風を斬れ

 にわかに私は忙しくなりました。私はずっしりとした服から、軽く動きやすい服に着替えました。使い慣れた武具などを荷物にまとめました。隣の国の王様と共に来た人々に、挨拶をしました。そして、次の日の早朝、セリスへ向けて歩き始めました。

 私の護りたい、かの王様の宝物とはあなたです、姫」

 キュアはゆっくりと瞬きした。そして言った。

「知っていたわ」

 少し言葉を失った後、ジンは悲しそうに微笑んだ。セントは目を閉じた。

「いつだったかしら、お父様とお母様の話を聞いてしまったの。シュトゥーヘンのレン王子は恐怖政治を模して遊んでいるらしい。あなたが王子のままだったら、安心して私を嫁がせることが出来るのにって」
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