汝、風を斬れ
「士官兵」
兵は幾つかの部類に分かれ、それは軍服の色が示している。ジンのような、王族の護衛をする近衛兵や、王城を守る常駐兵は闇に紛れる色。戦地に赴き、実際に戦闘を行う兵は森に紛れる色。そして、その戦闘の指揮を行うのが白い服を着た兵だ。
セントは体勢を直り、姫に敬礼をした。
「俺は、セント。セント・ソーザ」
名を述べると、天井を指差した。
「ここはご覧の通り、天幕の中。城外の森です」
はっきりした声。自分をどうこうしようという意志は見えない。そう判断した姫は、顎をくっと引くとセントに尋ねる。
「ジンはどこです、私の傍にいた筈の」
「森の奥に、薬草や食い物を探しに。じきに、戻ってきますよ」
軽く笑顔をつくって言う。
「私は、なぜ、ここに?」
湖の底の色と、森の奥の色が真っ直ぐにぶつかる。
セントの顔から笑みが消えた。
「何も知らないんですね」
それは、ある意味、救われていたのかもしれない。しかし。セントの口が語り始める。今宵、何が起こったのかを。
兵は幾つかの部類に分かれ、それは軍服の色が示している。ジンのような、王族の護衛をする近衛兵や、王城を守る常駐兵は闇に紛れる色。戦地に赴き、実際に戦闘を行う兵は森に紛れる色。そして、その戦闘の指揮を行うのが白い服を着た兵だ。
セントは体勢を直り、姫に敬礼をした。
「俺は、セント。セント・ソーザ」
名を述べると、天井を指差した。
「ここはご覧の通り、天幕の中。城外の森です」
はっきりした声。自分をどうこうしようという意志は見えない。そう判断した姫は、顎をくっと引くとセントに尋ねる。
「ジンはどこです、私の傍にいた筈の」
「森の奥に、薬草や食い物を探しに。じきに、戻ってきますよ」
軽く笑顔をつくって言う。
「私は、なぜ、ここに?」
湖の底の色と、森の奥の色が真っ直ぐにぶつかる。
セントの顔から笑みが消えた。
「何も知らないんですね」
それは、ある意味、救われていたのかもしれない。しかし。セントの口が語り始める。今宵、何が起こったのかを。