汝、風を斬れ
「背中の傷は、もう平気ですか?」
「はい……俺は傷が治るのに三日以上はかかりません」
「そうですか」
キュアは安心したように息を吐いた。それから、壁に掛けられた白い軍服に目を遣った。国を守る者が身につける服である。
「あなたはこの国の神話をご存知ですか?」
「はい……ガキのころ、聞きました」
「では、湖と森の話は」
「えっと……国旗のいわれの話ですよね」
「はい。どのように聞きましたか」
「よくは覚えてないけど……城の周りを囲む森のどこかに、光り輝いている所があって、その中心にはきれいな湖がある。森の神様と湖の神様が結んだ身がセリスの王様だ、って」
「そうです」
「それが?」
「湖が綺麗でいるためには、それを囲む森が不可欠なのです。雨が降って地下に染み込んだ水は森に浄化されて湖へ溜まるのです……ですから……」
キュアは立ち上がり、セントと向かい合う。無論、見上げる姿勢になった。
そして、互いに思った。
きれいなめをしている。
月の光に照らされているだけなのに、自分の姿が相手の瞳に見える程。
「あなたが欠けてはいけないのです。どうか、いなくならないで下さい……」
「はい……俺は傷が治るのに三日以上はかかりません」
「そうですか」
キュアは安心したように息を吐いた。それから、壁に掛けられた白い軍服に目を遣った。国を守る者が身につける服である。
「あなたはこの国の神話をご存知ですか?」
「はい……ガキのころ、聞きました」
「では、湖と森の話は」
「えっと……国旗のいわれの話ですよね」
「はい。どのように聞きましたか」
「よくは覚えてないけど……城の周りを囲む森のどこかに、光り輝いている所があって、その中心にはきれいな湖がある。森の神様と湖の神様が結んだ身がセリスの王様だ、って」
「そうです」
「それが?」
「湖が綺麗でいるためには、それを囲む森が不可欠なのです。雨が降って地下に染み込んだ水は森に浄化されて湖へ溜まるのです……ですから……」
キュアは立ち上がり、セントと向かい合う。無論、見上げる姿勢になった。
そして、互いに思った。
きれいなめをしている。
月の光に照らされているだけなのに、自分の姿が相手の瞳に見える程。
「あなたが欠けてはいけないのです。どうか、いなくならないで下さい……」