汝、風を斬れ
長いようで、短いようで。それは確かな真実であった。
「…彼は再びの平安をもたらした。彼は英雄である。しかし、己の体の中に流れている悪徒の血を恐れて自害した。裏王家。その血を引く者はもういない。だが、湖を守る森が消えたと落胆してはいけない。湖、すなわち王家がなくなるのは民が王家を裏切った時であり、王家が民を裏切った時だ。彼の死によってこの国の結びつきはより強くなる。彼は素晴らしいものを我々に残していった…」
そうでなければ。
セントの死に意味はなくなる。
「陛下、」
ジンはバルコニーを見上げた。
キュアが顔を上げる。民衆が向く。
「勇者の……セント・ロダウン・ソーザ・セリスの葬儀を……」
ジンの言葉が詰まった。声もなく、蒼い目から涙が流れる。
王はゆっくりと頷いた。
どこからか拍手が聞こえ、広まり、やがては王家と国、勇者とその友を讃える声へ変わった。
「…彼は再びの平安をもたらした。彼は英雄である。しかし、己の体の中に流れている悪徒の血を恐れて自害した。裏王家。その血を引く者はもういない。だが、湖を守る森が消えたと落胆してはいけない。湖、すなわち王家がなくなるのは民が王家を裏切った時であり、王家が民を裏切った時だ。彼の死によってこの国の結びつきはより強くなる。彼は素晴らしいものを我々に残していった…」
そうでなければ。
セントの死に意味はなくなる。
「陛下、」
ジンはバルコニーを見上げた。
キュアが顔を上げる。民衆が向く。
「勇者の……セント・ロダウン・ソーザ・セリスの葬儀を……」
ジンの言葉が詰まった。声もなく、蒼い目から涙が流れる。
王はゆっくりと頷いた。
どこからか拍手が聞こえ、広まり、やがては王家と国、勇者とその友を讃える声へ変わった。