汝、風を斬れ
石造りの門の前に、篝火が煌々と燃えている。槍を手にした門番が二人、何か話しながら闇に包まれた森や、森に続く道を見ている。時折、笑い声が上がった。
そこに、彼らと同じ薄闇色の軍服を着た男が二人近づき、門番の二人に話しかけた。
「交替です」
門番は、もうそんな時刻か、と月の傾き具合を見ようとそれぞれが夜空を見上げた。それと同時に腹部に強い衝撃を受け、視界が闇に染まる。篝火は依然、煌々と燃えている。
門の脇にある通用口が内から開いた。森の樹木と同じ色の軍服を着た男が、そこから顔を覗かせ、小さく頷いた。薄闇色の二人もすでに樹木の色をした軍服に着替えている。頷き合い、どちらかが呼び笛を短く吹いた。闇に響くその音は、鳥の鳴き声にも似ている。
森ががさごそと揺れた。森が移動している様にも見えるが、それは兵士だ。門の前に整列する。重い門が開き、誰かが「行け」と言った。森の色をしたかたまりは、雪崩れ込むように城へ入った。
そこに、彼らと同じ薄闇色の軍服を着た男が二人近づき、門番の二人に話しかけた。
「交替です」
門番は、もうそんな時刻か、と月の傾き具合を見ようとそれぞれが夜空を見上げた。それと同時に腹部に強い衝撃を受け、視界が闇に染まる。篝火は依然、煌々と燃えている。
門の脇にある通用口が内から開いた。森の樹木と同じ色の軍服を着た男が、そこから顔を覗かせ、小さく頷いた。薄闇色の二人もすでに樹木の色をした軍服に着替えている。頷き合い、どちらかが呼び笛を短く吹いた。闇に響くその音は、鳥の鳴き声にも似ている。
森ががさごそと揺れた。森が移動している様にも見えるが、それは兵士だ。門の前に整列する。重い門が開き、誰かが「行け」と言った。森の色をしたかたまりは、雪崩れ込むように城へ入った。