汝、風を斬れ
「そんな魔法も使うのか」
 ジンは、姫のいると思われるあたりを見上げる。しかし、そこには何も見えない。
「球は俺の後を追う」
 それは知識としては知っていたが、ジンの力では到底扱えない出来ない代物だ。
「さ、来るぜ」
 セントが刀を両手で握った。

 草叢から人間が出て来た。反乱兵、ざっと二十。
「甲冑まで着て」
 セントが苦笑して呟いたが、気に留めることなくジンとセントを囲む。まだ襲ってはこない。セント以外、球体の位置がわかる者はいない。
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