汝、風を斬れ


 ふと、その音が小さくなった。
 セントの瞳が開き、黒く光る。
 傍らの太刀を掴み、音もなく立つ。
「ヒメヲ……コロス……」

 キュアの脇へ。刀を抜き、膨らんだ左胸の下をめがけて刀を下ろす。

 カ……ン

 金属のぶつかる音。
 セントの右にジン。
 セントの刀の切っ先は、ジンの細い刀の腹に。
「ヒメヲコロス」
 不気味なほどに単調な声。
「……セント」
 ジンは思う。話は通じているのか。セントの目は生きている人間のそれではない。
「オマエハ、ワレラノジャマヲスルノカ」
 刀を離し、剣先がジンに向けられる。
「ジャマヲスルモノモ、コロス」
 セントの足が床を蹴る。
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