汝、風を斬れ
「王族の髪の毛……あの綺麗な青の色から、少しなんだけど、不思議な光が出てるんだって。えらい学者さんがそれを探せる装置かなんかを作って、お日様が出ている間だけ使えて、それで姫様を探してるんだってよ」

紙を手に取ったジンの後ろからキュアが覗く。ジンはゆっくりと息を吸うと、確かめるように言葉を紡いだ。
「本当だ……お前にそっくりじゃないか。自分の『妹』がこんなにも姫様に似ているなんて、光栄、と言えばいいのか」
 ……ジン。
「あら、二人は兄妹かい」
「はい。で、緑の方は用心棒です」
「ま、随分態度のでかい用心棒だね。兄ちゃん」
「腕が立つからね」
「それしか能がないんです」

 女主人が去るまで三人は極々自然な演技に努めた。

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